掲載日:2023年3月30日 更新日:2025年8月14日
本記事では、SIMロックの基本的な知識や解除方法などについて解説します。
SIMロックとは
SIMロックとは、スマートフォンが契約した通信キャリアのSIMカードしか利用できないように制限されている状態のことです。
通信キャリアを乗り換えたときは、新しいキャリアから送られてきたSIMカードをスマートフォンに入れて、初期設定を行うのが一般的ですが、SIMロックがかかっていると、エリア内でも「圏外」と表示され、電話もネットもまったく使えなくなります。
また、海外旅行のときはスマートフォンを使うために現地のプリペイドSIMカードを買うこともあるでしょう。しかし、この場合もSIMロック状態のスマートフォンでは通信ができないため、状況に応じてあらかじめ解除しておく必要があります。
SIMカードとは
SIMカードとは、スマートフォン等に内蔵されているICチップがついた小型のカードのことです。
SIMとは「Subscriber Identity Module」の頭文字の略称で、通信キャリアの契約者を識別するための情報が記録されています。SIMカードをスマートフォンやタブレットに挿入することで、通話・通信機能を利用できるようになるのです。
近年はSIMカードの他にeSIMも一般的になってきています。eSIMとは「Embedded SIM」の略称で、あらかじめスマートフォン内部に組み込まれたSIMです。SIMカードのようにユーザーが物理的に着脱するのではなく、スマートフォンの設定画面からキャリアを切り替えることができます。
通信できているスマートフォンには必ず何らかの形でSIMが入っていると考えてよいでしょう。
SIMロックの解除とは
スマートフォンにかけられたSIMロックは契約元の通信キャリアに依頼をすれば解除することが可能で、SIMロック解除をすると契約した通信キャリア以外のSIMカードを利用できるようになります。
SIMロックの解除手続きは、各通信キャリアのWebサイトや店舗、電話などで申請できます。端末によっては一定の条件(購入日からの経過日数や支払い状況など)が必要になる場合もあります。
これによって、端末を変えることなく自由に通信キャリアを乗り換えることができるようになります。
なお、格安SIM(格安スマホ)とは通信キャリアの回線を借りてリーズナブルな価格で提供している事業者のSIMですが、同じ通信キャリア回線を借りている格安SIM事業者ならばSIMロックがかかったままでも乗り換えられます。
たとえば、auで契約した端末でau回線の格安SIMがそのまま利用できるように、必ずしも通信キャリアを乗り換える際にSIMロック解除が必要という訳ではありません。
SIMフリー端末とは
SIMロックが解除されている状態を「SIMフリー」と呼びます。SIMフリーの端末であれば、基本的にどの通信キャリアから発行されたSIMカードでも利用することができます。
SIMフリー端末は、Apple Storeなどのメーカー直販サイトのほか、各キャリア、家電量販店やECサイトなどでも広く販売されています。現在では、多くの通信キャリアや格安SIM事業者が「端末なし・SIMカードのみ」のプランを提供しているため、端末と通信契約を別々に選んで組み合わせることが可能です。
たとえば、Apple StoreでSIMフリーのiPhoneを購入し、格安SIM事業者のSIMカードだけを契約して利用するといった使い方ができます。このように、SIMフリー端末を使うとキャリアに縛られない柔軟な通信環境を実現できるのです。
SIMロック解除の義務化
総務省のガイドライン改訂により、2015年5月以降に発売された機種については、利用者の要望に応じて事業者がSIMロックを解除することが義務化されました。その後しばらくは「SIMロックがかかっている端末」と「SIMフリーの端末」が混在している状態でしたが、さらなるガイドラインの改訂により、2021年10月以降に発売される端末については、通信キャリアによるSIMロックが原則禁止となりました。
また、2023年10月以降は、店頭や電話窓口、インターネットなどすべてのSIMロック解除手続きが無料化されました。加えて、インターネット手続きについては、利用者からの申請を終日(24時間)受け付ける仕組みを整えるよう定められています。
SIMロックを解除するメリット
SIMロックの解除をすると、端末を変えることなく自由に通信キャリアを乗り換えられるようになります。これにより、通信料金が安い格安SIMへの乗り換えが手軽にできるようになるなどさまざまなメリットがあります。
ここからは、SIMロック解除のメリットについて解説します。
いつでも通信キャリアを乗り換えられる
SIMロックを解除しておくと、端末を契約した通信キャリア以外のSIMカードでも利用できるため、通信キャリアを乗り換える際も同じ端末をそのまま使い続けることができます。
そのため、手間のかかる端末間のデータ移行が不要で、契約する通信キャリアだけを乗り換えられるメリットがあります。
格安SIMに乗り換えて料金を抑えられる
SIMロックがかかっておらずいつでも通信キャリアを乗り換えられる状態にしておけば、格安SIMで利用料金を抑えるという選択肢も生まれます。
使用している端末がSIMフリーであれば、新たに端末を購入することなくそのままSIMカードを入れ替えるだけで月々の通信費を抑えられます。
SIMロック解除のデメリット
SIMロック解除にデメリットはありません。昔は解除手数料がかかることがありましたが、現在は無料化されています。
解除すると機能が制限されたり、メーカー保証が受けられなくなったりするといったこともありません。
SIMロックがかかっているか確認する方法
自身のスマートフォンにSIMロックがかかっているかを確認する方法は、iPhoneとAndroid™端末で異なります。
iPhoneのSIMロック確認方法は、以下の通りです。(OSのバージョンによって操作手順が異なる場合があります)
- ① ホーム画面から「設定」を選択
- ② 「一般」を選択
- ③ 「情報」を選択
- ④ 「SIMロック」の項目に「SIMロックなし」と表示されていればSIMロックの解除済み
次に、Android™のSIMロック確認方法については以下の通りです。(端末やOSのバージョンによって操作手順が異なる場合があります)
- ① ホーム画面から「設定」を選択
- ② 「端末情報」か「デバイス情報」を選択
- ③ 「SIMロックの状態」か「SIMのステータス」の項目を確認する
- ④ 「許可」か「ロック解除されています」と表示されていればSIMロックの解除済み
上記の手順で確認ができない場合は、端末の購入元のキャリアに問い合わせてみると良いでしょう。
キャリアごとのSIMロック解除条件
キャリアごとのSIMロック解除条件について表にまとめました。自分が使っているキャリアの条件に合っているか事前に確認しておきましょう。
| ドコモ | au | ソフトバンク | |
|---|---|---|---|
| 最初からSIMロック解除済みの機種 | 2021年8月27日以降に発売された機種 | 2021年10月1日以降に発売された機種、または2021年9月24日発売の機種 | 2021年6月以降に発売された機種(Xperia 1 Ⅲを除く) |
| SIMロック解除対象機種 | 2015年5月以降発売のSIMロック解除対応機種(2011年4月〜2015年4月発売機種は店舗受付のみ) | 2015年4月23日以降発売のSIMロック解除対応機種 | 2015年5月以降発売のSIMロック解除対応機種 2015年4月までに発売された一部の機種 |
| 解除条件 | おまかせロック、故障・水濡れなし | ネットワーク利用制限・料金滞納なし | ネットワーク利用制限・故障・水濡れなし |
〇 2025年5月までに発表された各キャリア公式情報をもとに作成しています。SIMロック解除に関する条件や取り扱いは、端末の購入方法や時期、契約状況などにより異なる場合があります。詳細は各キャリアの公式サイトで最新情報をご確認ください。
SIMロックを解除する方法
SIMロックの解除は端末を契約した通信キャリアを通じて行います。手続きは、主に以下の3通りです。
- ・店頭
- ・インターネット
- ・電話
いずれの方法も手数料は無料です。以下でそれぞれの方法を詳しく解説します。
店頭で解除する
SIMロックの解除は、各通信キャリアの店頭で受け付けています。
ご自身で端末の操作をするのが不安な方は、店頭での解除をおすすめします。
手続きには運転免許証などの本人確認書類とSIMロックを解除したい端末本体が必要です。また、原則として契約者本人による来店が必要です。
一部の通信キャリアでは来店予約が必要で、特に混雑時は待ち時間が発生することがあります。事前に各キャリアの公式サイトで予約しておくとスムーズです。
インターネットで解除する
SIMロック解除の手続きは、インターネットからでも可能です。
各通信キャリアの専用ページにログインし、SIMロックの解除手続きの流れに従って操作するだけで完了できます。
対面によるサポートに頼らずご自身で操作ができる方におすすめです。なお、SIMロックを解除する際は端末の識別番号(IMEI)が必要になるため事前にメモしておきましょう。
端末のIMEIの確認方法は以下の通りです。
- ・iPhoneの場合
- ・ Android™の場合
- ・一部の端末を除き、「*#06#」とダイヤルすると画面にIMEIが表示されます。
「設定」→「一般」→「情報」→「IMEI」
「設定」→「デバイス情報」など(機種により異なります)
SIMロック解除の具体的な手続き方法は各キャリアの公式サイトでご確認ください。
電話で解除する
SIMロックの解除を電話で受け付けている通信キャリアもあります。各通信キャリアの受付窓口に電話をし、音声ガイダンスに従って手続きを進めます。
SIMロック解除後の格安SIMの選び方
最後に、SIMロック解除後に乗り換えを検討したい格安SIMの選び方を紹介します。
格安SIMは、料金やキャンペーンなどそれぞれ特長があります。自分に合った選び方を見つけてみましょう。
月額料金を比較する
格安SIMの月額料金は各キャリアによって異なるため、月額料金を少しでも抑えたい方はできるだけ多くの料金プランを比較するようにしましょう。
契約するデータ容量が大きくなるほど料金が上がりますので、ご自身のスマートフォンの利用頻度に合わせて極力少ないデータ容量を選ぶことが月々の料金を抑える1つの方法です。
キャンペーン内容で決める
格安SIMを選ぶ際は、実施中のキャンペーンを参考にするのも良いでしょう。
格安SIMでは、ポイント還元やオプションの割り引き、端末セールなど時期によってさまざまなキャンペーンを実施しています。
複数のキャリアを比較し、ご自身の使い方に合った魅力的なキャンペーンを見つけましょう。
格安SIMに乗り換えて通信費の節約を
SIMロック端末の販売が禁止されてからしばらく経ち、世の中から徐々にSIMロック端末が姿を消しつつありますが、もしお手元の端末にSIMロックがかかっていたとしても簡単にSIMロックの解除ができることを本記事ではご紹介しました。
SIMロックを解除した端末は、通信キャリアの乗り換えが自由にできるようになるという大きなメリットがあります。毎月の通信費を抑えるためにも、端末のSIMフリー化と格安SIMへの乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか。





